質 問

 この度の予算案は、新たな技術の活用により未来に向けて挑戦する取組と、強固な行財政基盤づくり、国経済対策に呼応した緊急的な課題への対応という3つの柱によって編成され、現在と未来、攻めと守りのバランスが取れた予算案となっている。
 自民党県連では、市町や友好団体からの要望を取りまとめ1月、知事に要望した。予算案には地方創生や防災・減災対策の強化など、厳しい財政状況の中でも、要望に対し可能な限りの措置をいただいた。
 2年度末の基金残高が100億円を上回る見込みとなるなど、これまでの改革の成果が現れており、引き続き改革にしっかりと取り組んでいかなければならない。
 知事には引き続き「3つの維新」への更なる挑戦と財政健全化という2つの困難な課題に向け、選択と集中の観点に立って、積極果敢に邁進していただきたい。
 「活力みなぎる山口県」、そして未来に希望が持てる県づくりに向け、この度の予算案においてどのように取り組んでいくのか、所見を伺う。
 

村岡知事

 友広議員の代表質問にお答えします。
 まず、令和2年度当初予算についてのお尋ねです。
 県の最重要課題である人口減少に歯止めがかからない中、活力みなぎる県づくりを実現するためには、やまぐち維新プランに掲げる「3つの維新」への挑戦をしっかりと前に進めていかなければなりません。
 そのため予算編成においては、この度策定する「第2期山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」にも即して、新たな視点による施策に積極的に挑戦し、選択と集中の観点に立って、4つの重点推進項目に優先的な予算配分を行いました。
 まず、「Society5.0時代を見据えた未来技術の活用」では、5GやAI等の未来技術は、少子高齢化に伴う地域や産業の担い手不足をはじめ、多くの地域課題を解決する可能性を持っていることから、様々な分野での導入を促進することにより、産業振興や生活の質の向上などを図ります。
 また、「地域と関わる新しい人の流れの創出」では、地域と継続的につながりを持つ関係人口の創出・拡大を図ることとし、都市部の人材を本県に誘導する仕組みづくりなどに取り組みます。
 次に、「地域を支える多様な人材の確保・育成」では、県民が安心して住み続けられる県づくりに欠かせない、医療・介護分野の担い手不足対策などに取り組みます。
 また、「社会全体での子育て支援体制の充実」では、地域や企業を含む社会全体で児童虐待防止に取り組む環境づくりを進めるとともに、子育てしやすい環境整備に向けた取組を充実させます。
 さらに、国の経済対策に呼応して、元年度補正予算と2年度当初予算の一体的な編成により、防災・減災対策や国土強靭化、教育ICTの環境整備など、緊急課題への対応を強化したところであり、国の補正予算も積極的に活用し、未来に向けた県づくりを加速化していきます。
 一方、これらの取組を進め、多くの政策課題に挑戦していくためには、県政推進の土台となる、揺るぎない行財政基盤を確立する必要があることから、引き続き手を緩めることなく、行財政構造改革の取組を着実に実行していきます。
私としては、誰もが将来に希望を持って暮らせる県づくりを実現していくため、本予算を通じた取組の実効性を高めていくことで、県民の皆さんがその成果を早期に実感できるよう、強い思いを持ってしっかりと取り組んでまいります。

 質 問

 
 未来技術は、これまで地方が都市部に対し相対的に劣後していた住民サービスや地域の利便性を飛躍的に高める可能性を有しており、特に担い手不足や遠隔地であることを課題とする地方でこそ、優先的に活用していく必要がある。
本県は、現在、多くの地域で高齢化や生産年齢人口の減少が進み、交通弱者の増加、医療・介護サービスの担い手不足、小売・生活関連サービスの衰退など、解決すべき社会課題が山積している。また、若い世代が地方に移住する際にも、子供の教育環境や医療体制などの不安が足かせになっているとも指摘されている。
こうした課題に対し、未来技術を活用した解決方策を講じることが有効であり、さらに、モノやサービスの生産性・利便性を飛躍的に高め、新しいサービスの創出や新たな雇用につなげ、社会・経済の双方の面から、地域を一層豊かで魅力あるものとし、人を呼び込む好循環を生みだすことが重要となる。
 本県の第2期総合戦略の最終案においても、未来技術の積極的な活用が掲げられ、昨年には知事も全国知事会の情報化推進PTのリーダーに就任されるなど、我が会派としても本県のこれからの取組に大いに期待している。
 我が国全体がSociety5.0の実現に向けて歩みを進める中で、本県ならではの地域活力の創出に向け、今後、未来技術の活用にどう取り組んでいくのか伺う。
 

村岡知事

 
 次に、未来技術の活用による地域活力の創出についてのお尋ねにお答えします。
 本県では、人口減少や少子高齢化が急速に進行し、地域の担い手や企業等の人手不足が深刻になり、中山間地域では生活機能の確保が困難な状況が生じるなど、地域を取り巻く環境は厳しさを増しています。
 こうした中にあって、AIや5Gなどの未来技術の進展が、産業や生活などの様々な分野で大きな変革をもたらすことが期待されています。
 私は、こうした技術を活用することで、これまで困難とされていた課題を、従来にはない手法で解決するとともに、新たな産業の創出や生活の質の飛躍的な向上を図ることができると考えています。
 様々な課題を抱える本県においてこそ、未来技術の積極的な活用が必要であり、今、この機を逃すことなく、その導入・実装に向けた取組を進めていかなければなりません。
 このため、県の第2期総合戦略においても、新たな視点として未来技術の活用を盛り込み、Society5.0の実現に向けた新たな社会システムづくりに果敢に挑戦してまいります。
 まず、その推進に当たっては、新たに未来技術活用プロジェクトマネージャーを配置し、推進体制を構築することとしており、これにより企業や市町等による未来技術の活用を支援し、先進事例の創出につなげていきます。
 産業での活用については、製造現場の高度化を図るため、5GやAIを活用したスマートファクトリーモデルの創出を図るとともに、スマート農業による省力化や高品質化、AIを活用した橋りょうの点検・診断による効率化や信頼性の向上などにも取り組みます。
 また、県民や観光客から二次交通の一層の充実が強く求められていることから、公共交通など多様なサービスを連携させ利便性を向上し、交流人口の拡大にもつなげていくため、AI等を活用し移動サービスを最適化するMaaSと呼ばれる新たなモビリティサービスの実証を進めます。
 さらに、専門医のいないへき地等の医療水準の向上を図るため、5Gを活用して、診療を行う若手医師を、遠隔地から専門医がリアルタイムでサポートする体制の実証にも取り組みます。
 教育においても、Society5.0時代を担う子どもたちの情報活用能力の育成、また個々の能力に応じた教育を行うため、県立学校における生徒1人1台PC端末の導入に着手するなど、教育のICT化を進めていきます。
 私は、全国知事会の情報化推進プロジェクトチームのリーダーとして、国に対して、未来技術の活用に向けた基盤整備が都市部に遅れることなく、地方において早期に整備されるよう求めるとともに、未来技術の積極的な活用により様々な課題を解決し、本県の新たな活力を創出していけるよう、全力で取り組んでまいります。

 質 問

 
県においては、これまで、地域に必要な医療機能の確保に向け、地域の関係機関と連携して、地域医療構想の実現に取り組み、また、昨年、国から要請を受けた、公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証についても、地域での協議を開始するなど、着実に取組を進められている。
こうした中、このたび、病院の再編統合を国が支援する重点支援区域に、全国で初めて柳井と萩の2つの医療圏が選定された。今後は、取組の実現に向け、県としてもしっかりと支援するとともに、その成果を各地域での再編統合をはじめとする医療機能のあり方の検討に生かし、県内全ての医療圏での取組の促進につなげる必要があると考える。
また、地域医療を支える医師の確保や養成について見ると、依然、若手医師の確保は喫緊の課題となっている。先般、県が示した医師確保計画の最終案では、各地域の現状や医師確保の方針、確保すべき目標医師数などが示されており、今後、地域の実情に応じた実効性ある対策などによって、医師確保対策を更に強力に推進していただきたい。
そこで、県民が安心できる総合的な医療提供体制の構築に向け、どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺う。
 

村岡知事

 
 次に、県民が安心できる総合的な医療提供体制の構築についてのお尋ねにお答えします。
 私は、県民が生涯を通じて、住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくためには、効率的で質の高い医療の提供と、これを支える医師の確保を柱とした、総合的な医療提供体制の構築が重要であると考えています。
 このため、県では、8つの医療圏域のそれぞれの実情に応じて、地域にふさわしいバランスのとれた医療提供体制の構築を目的とした地域医療構想の実現に向け、医療機関の機能の見直しと医師の確保を一体的に進めているところです。
まず、医療機関の機能の見直しについては、医療機関相互の協議と自主的な取組を基本に、圏域ごとの地域医療構想調整会議の議論を踏まえ、救急等の急性期機能の確保やリハビリ等の回復期機能の充実などに向け、必要な施設整備等の支援に取り組んでいます。
 こうした中、お示しの重点支援区域に、柳井圏域と萩圏域が国から選定され、財政や技術的支援の対象となったことから、両圏域が目指す医療提供体制が着実に実現されるよう、県としても、課題解決に向けた助言や、地域医療介護総合確保基金を活用した支援を積極的に行ってまいります。
 また、来年度は、他の圏域においても、重点支援区域の申請も視野に、将来のあるべき医療提供体制についての議論を活性化するため、より広域的、専門的な観点から、医療需要や診療実績などに関する調査・分析に取り組むこととしています。
 次に、地域医療を支える医師については、現在策定中の山口県医師確保計画に基づき、各圏域で必要とする医療が確実に提供できるよう、県全体の医師数を増やすことを基本方針とし、医師修学資金制度の運用など、若手医師の確保に向けた取組を強力に進めてまいります。
 また、地域医療が抱える課題に対応するため、医師専門人材紹介会社を活用し、医師が不足しているへき地等にある医療機関を支援する体制づくりや、5Gを活用し、へき地に勤務する若手医師の診療を遠隔地からサポートする体制づくりに、来年度、新たに取り組むこととしています。
 私は、今後とも、市町や関係団体等とも連携し、地域医療構想の推進と医師確保対策に全力で取り組み、県民の皆様が安心できる医療提供体制の構築を進めてまいります。

 質 問

 
 雇用情勢は着実に改善している一方、若者や女性を中心に人口の県外流出の流れは歯止めがかかっておらず、県内中小企業では、人手不足は極めて深刻な課題となっている。
 本県経済の活性化に向けては、地域の経済や雇用を支え、地域の活力源である中小企業の持続的な成長が必要不可欠であり、今後も予想される人口減少と人手不足を見据えた対策に取り組んでいくことが求められている。
国においては、今年度補正予算において、生産性向上への支援や人材確保対策の推進に取り組むこととされている。
 本県でも、これまで、IoT等の導入促進による生産性向上や県外人材の還流支援などに取り組まれているが、厳しさを増す人手不足の解消に向けては、国の動きとも的確に連携し、より実効性のある取組を進めていかなければならない。
県内中小企業が、製品・サービスの高付加価値化や工程の省力化などにより労働生産性を高めていくための支援、女性などの新たな雇用の担い手や、経営を高度化する専門人材、企業ニーズに応じた人材の確保などにより、企業の「稼ぐ力」を強化することが重要である。
 少子高齢化を背景とした人口減少、とりわけ、生産年齢人口の減少傾向が続くことが見込まれる中、本県の地域経済を支える中小企業の生産性向上と人材確保に、今後、どのように取り組んでいくのか、所見を伺う
 

村岡知事

 
 次に、中小企業の生産性の向上・人材確保についてのお尋ねにお答えします。
 私は、若者や女性を中心とした人口の県外流出により深刻化する人手不足など、厳しい経営環境の中でも、地域経済の発展や雇用の場の確保に大きな役割を担っている中小企業の持続的な成長を促進することが極めて重要と考えています。
 こうした中、未来技術は目覚ましい進化を遂げ、生産性向上への大きな可能性を有しており、また、地方での兼業・副業に対する国の後押しや企業の理解も進むなど、多様な人材の確保に向けた環境も整いつつあります。
 こうした状況を踏まえ、私は、来年度予算において、未来技術の導入による業務の効率化や製品等の高付加価値化、大都市圏からの還流による人材の確保、県内の潜在的な就業希望者の活用に積極的に取り組むこととしています。
 まず、生産性向上では、事務作業を自動化するRPAの共同利用による実証に取り組み、企業のコスト負担やノウハウ不足といった導入時の課題解決を図るとともに、検証を踏まえた上で、中小企業への横展開を目指します。
 また、中核となる企業が、連携する企業と経営資源を集約して取り組む、県内外での販路拡大や、付加価値の高い製品・サービスの創出に必要となる、AIやIoT等の活用促進も支援します。
 次に、多様な人材の確保のうち、まずは、県外大学生等については、就職支援協定締結校において、魅力ある企業情報を学生に直接届ける「山口デー」を新たに開催し、県内企業の認知度向上を図り、就職につなげることとしています。
 また、専門人材確保に向けては、国の新たな制度を活用し、「プロフェッショナル人材戦略拠点」に金融機関からの出向職員を受け入れ、体制の強化を図ります。
 拠点では、金融機関のネットワークを活用して人材ニーズを収集し、兼業や副業等多様な就業形態も活用して、ニーズに応じた人材とのマッチングを推進します。
 加えて、時間的に制約を抱える女性の就業を促進する「マイクロワーク」や、ライフステージに応じて就業時間を拡大できる「ステップアップ就業」の導入など、就業機会の拡大を促し、潜在的な就業希望者の活用を進めます。
 私は、未来技術を積極的に活用し、国や関係機関との連携の下、県内中小企業の持続的な成長に向け、生産性の向上や人材の確保に全力で取り組んでまいります。

 質 問

 
 本県の産業力を強化するとともに、地域の更なる活性化を図るためには、産業・交流基盤である幹線道路の整備が必要不可欠であり、大規模災害時にも機能する信頼性の高い道路ネットワークを構築するためにも重要である。
 しかし、山陰道では多くの未着手区間が残り、また、都市部の渋滞などの課題は解消されておらず、幹線道路網の整備は道半ばである。
 このため、これまで議会と執行部が一体となり要望活動に取り組んできた結果、昨年9月の長門・俵山道路の開通など着実に成果があがっており、更に、国は山陰道整備を担当する事務所を4月に萩市内に新設する意向を示しており、残る区間の整備の加速化に向け取組を強化しなければならない。
 また、小郡萩道路についても、一日も早い完成に向け、地域の期待は大いに高まっている。
 更に、下関北九州道路についても、国の調査が迅速かつ着実に進むよう、関係団体と緊密に連携して協力し、計画段階評価への移行など、早期実現に繋げていくべきと考えている。
 今後は、未着手区間の早期事業化に向けた動きを加速化し、岩国大竹道路や小郡萩道路など、事業化区間も一層の事業促進を図り、幹線道路網の整備を強力に進めていただきたい。
 そこで、本県の産業振興や交流拡大を図り、災害時にも機能する信頼性の高い道路ネットワークを構築するため、山陰道や地域高規格道路をはじめとする幹線道路網の整備に今後どのように取り組まれるのか、知事の所見を伺う。
 

村岡知事

 
 次に、幹線道路網の整備についてのお尋ねにお答えします。
 私は、活力に満ちた産業や活気ある地域の中で、県民誰もがはつらつと暮らせる山口県を創っていくためには、迅速かつ円滑な物流や交流人口の拡大の実現に資するとともに、大規模災害時にも機能する幹線道路網の計画的な整備が必要不可欠と考えています。
 このため、これまでも政府要望や知事会など、あらゆる機会を通じて、国に対し、その整備促進を働きかけてきたところです。
 こうした中、まず、山陰道については、昨年末、国から、新たな事務所を設置する意向が示されるなど、全線整備に向けた動きが加速化しています。
 私は、この機を逸することのないよう、早速、本年1月、青木国土交通副大臣に直接お会いし、改めて整備促進を強く訴えたところです。
 引き続き、「俵山・豊田道路」などの事業中区間の一日も早い完成はもとより、「大井~萩」間をはじめとした未着手区間の早期事業化に向け、新たに設置予定の国の事務所とも連携を密にし、積極的に取り組んでまいります。
 次に、地域高規格道路をはじめとする幹線道路のうち、岩国大竹道路などの事業中区間については、早期完成に向け、国や市町と緊密に連携し、地元の御理解を頂きながら、事業の円滑な推進に努めていく考えです。
 このうち、小郡萩道路については、バイパス計画の「絵堂(えどう)~明木(あきらぎ)」間では、全区間にわたり、橋梁やトンネルの工事を実施するなど、本格的に事業展開を図っています。
 さらに、現道を活用する「明木(あきらぎ)~萩」間では、安全で円滑な交通を確保するための調査・検討を進めているところであり、引き続き、所要の事業費の確保に努め、小郡萩道路全線の早期完成を目指してまいります。
 また、下関北九州道路では、2県2市等が連携して、国に対し、事業化に向けての次のステップである計画段階評価への移行を強く訴えるなど、未着手区間については、早期事業化を目指し、引き続き、関係機関が一体となり、様々な取組を精力的に展開していく考えです。
 私は、引き続き、県議会の皆様方のお力添えを頂きながら、本県の活力の源となる産業力の強化や交流の拡大、県民の安心・安全の確保に向け、その基盤となる幹線道路網の整備に積極果敢に取り組んでまいります。

 質 問

 
 本県でも、このたびの予算案において、約35億円の予算が計上されており、国の動きに呼応しながら、着実に学校におけるICT環境の整備を進めていかなければならない。
 それに当たって重要なことは、ICT環境の整備は手段であって、目的ではないということである。子どもたちが、ICTを適切に活用しながら、これからの社会を自立的に生きていくことができるような資質や能力を育成していくという視点が重要になる。合わせて、こうした情報活用能力を効果的に育成していくため、教員の指導力向上にも取り組んでいかなければならない。
 そこでお尋ねする。本県の未来を担う子供たちが、これからの社会をたくましく生き抜く力を身に付けることができるよう、学校におけるICT教育の推進に、今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長の御所見をお伺いする。
 

教育長

  
 教育に関する2点のお尋ねにお答えします。
 まず、学校におけるICT教育の推進についてです。
 Society 5.0 時代を生きる子どもたちには、ICTを基盤とした先端技術の効果的な活用が求められる中、国においては、「GIGAスクール構想」の実現に向け、全国一律の学校におけるICT環境整備が進められています。
 このため、本県においても、来年度、県立高校等で、校内ネットワークの高速化と無線LANの整備等に取り組んでいくこととしており、小・中学校についても、来年度中に校内ネットワークの高速化と無線LANを、また、令和5年度末までには段階的に1人1台端末を整備するよう市町教委と連携して進めています。
 こうした整備を進めるとともに、お示しのように、子どもたちが、ICT環境を適切に活用しながら、社会を自立的に生きていくことができるような資質・能力の育成が重要であることから、本県では、今後、大型提示装置等を活用し、一斉授業において、大自然のダイナミックな姿や教室内ではできない実験の動画の視聴など、学習内容の深い理解につながる授業を展開してまいります。
 また、遠隔教育システムの活用により、英語の授業において、ネイティブ・スピーカーとの交流をとおし、より主体的で対話的な学習に取り組むとともに、県立高校等5校を研究指定校として、1人1台端末を年次進行で導入し、生徒一人ひとりの教育的ニーズや、学習状況に応じた個別最適化された学びにつながる授業改善をめざします。
 さらに、子どもたちに情報活用能力等を効果的に育成するためには、教員の指導力向上が重要であり、従来の教員研修に加え、来年度、やまぐち総合教育支援センターに「やまぐち教育先導研究室」、通称、「YELL(エール)」を設置して、ICTを活用した学習プログラムの開発を行うとともに、新たな学びを学校で実践するための推進教員を育成してまいります。
 県教委といたしましては、子どもたちがこれからの社会をたくましく生き抜く力を身に付けることができるよう、学校におけるICT教育の推進に努めてまいります。

 質 問

 
 新型コロナウイルス感染症は、世界的に感染が拡大し、国内においても、地域をまたがり感染者数が増加している。
 新型コロナウイルス対策について、政府は、国民の生命を守ることを最優先に、邦人退避、感染拡大防止、徹底した水際対策や産業への影響に対応する緊急対応策のとりまとめを実施した。更には、感染流行の早期終息と今後の患者数の大幅増加に備えた体制の構築に向け、基本方針が示された。
 県でも、医療機関との連携、県民からの相談対応、必要な情報の発信など、県内での発生に備えた体制を整備してきたが、今後、全国規模への感染の拡大や県内での重症患者の発生など、県民の不安が増大する恐れもあることから、あらゆる事態を想定し、取組を強化する必要があると考える。
 合わせて、訪日外国人の減少やサプライチェーンの毀損など、観光や県内経済への影響も懸念されるため、県内事業者の状況の変化等も見極めながら、必要な対策を実施していただきたい。
 更には、先月27日に、全国すべての小中学校、高等学校、特別支援学校に対し、3月2日からの臨時休業が要請され、子供たちの健康・安全を第一に考え、万全の措置を講じていただきたい。
 県民の命と健康を守る安心・安全の確保に向け、新型コロナウイルス対策に、今後どのように取り組んでいくのか、知事及び教育長の所見を伺う。
 

村岡知事

  
 次に、新型コロナウイルス対策についてのお尋ねにお答えします。
 現在、新型コロナウイルス感染症が国内外で発生し、健康被害や社会・経済的影響が拡大していることから、私は、県民の安心・安全を確保することが何よりも大切と考え、総合的に感染症対策を的確かつ迅速に進めているところです。
 具体的には、速やかに県の対策本部を設置し、県民や企業への正しい情報の提供や、感染患者の受入可能な病院の確保を行うとともに、感染症の相談窓口に加え、多岐にわたる相談に対応する総合窓口を開設するなど、全庁を挙げて取組を進めてきました。
 こうした中、お示しのとおり、国が、急激な感染拡大の抑制や重症化の防止等を内容とする基本方針を示したことから、私は、今後、県内で患者が発生し増加した場合にも対応できるよう、方針に沿って、取組を一層強化してまいります。
 まず、予備費を活用してウイルス検査体制や受入医療機関の診療機能を充実するとともに、医師会等関係団体と連携し、感染患者が重症度に応じて、適切な治療が受けられるよう、院内感染の防止措置が徹底された受入医療機関を増加させることとしています。
 また、国からの臨時休校の要請を踏まえ、県対策本部において、共働き世帯やひとり親世帯をはじめ、子育て世代を支援するため、休暇取得等の配慮を企業に要請するとともに、相談体制の強化、放課後児童クラブの実施体制の確保等、必要な対策をしっかりと講じてまいります。
 一方で、国内外の旅行者の宿泊キャンセル等が発生する中、総合窓口等を通じて寄せられる中小企業からの相談に対しては、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小企業を対象とした「経営安定資金」の活用などを通じて、経営・金融面での支援の強化を図っているところです。
 加えて、国に対して要請していた「セーフティネット保証4号」の発動も2月28日に決定されたところであり、これにより、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた中小企業については、信用保証協会において一般保証とは別枠の保証が利用可能となります。
 また、小中学校等の臨時休業への対応について、一時的な資金手当が必要となる中小企業を支援するため、県制度融資に新たな資金メニューを創設したところであり、今後とも状況の変化に応じて、適切に対処してまいります。
 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、引き続き、医師会等の関係団体と連携して感染症医療体制を強化するとともに、県議会と一体となって、県民の皆様の安心を確保するために、新型コロナウイルス対策に万全を期してまいります。
 

教育長

 次に、学校における新型コロナウイルス対策についてです。
 先月27日の安倍総理からの要請を踏まえ、翌28日、文部科学省から、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等について臨時休業を行うよう通知があったところです。
 これを受け、県教委といたしましては、子どもたちの健康・安全を第一に考え、県立学校について3月2日から休業しております。
 市町立学校については、各市町の教育長あてに県と同様の措置を講ずるよう要請し、現在、全ての市町教委で対応していただいているところです。
 また、3月5日、6日に実施される学力検査等については、アルコール消毒液の設置などの感染症対策を講じることとしています。
 県教委といたしましては、今後も、国の動向に注視し、県の対策本部等を通じて関係部局と緊密に連携を取りながら、適切に対応してまいります。