質 問

 3年にわたるコロナ禍において、少子化が一層深刻度を増す危機的な状況となるなど、コロナによる影響は、従来からの地方の課題をさらに進行させる結果となっている。
 我が会派は、ポストコロナの社会を見据え、デジタル改革や、産業脱炭素化への対応など、困難でもこれを乗り越え、未来を切り拓いていく取組に、県としても果敢に取り組まねばならないと繰り返し申し上げ、市町や団体等の要望を超重点要望事項として取りまとめ、知事に要望した。
 当初予算案は、本県の未来に向けて、3つの維新のさらなる進化に挑戦する施策がしっかりと盛り込まれ、取組の継続性と実効性を担保すべき政策については、新たに基金も創設されるとともに、我が会派が強く主張した物価高騰対策については、緊急的な対策に加え、中長期対策も示されるなど、我が会派の要望に対し真摯に対応いただいた。
 「未来維新プラン」の本格スタートに当たる来年度の当初予算により積極果敢に取組を進め、知事の描く未来図に向けて着実に成果を生み出し、その果実を目に見える形で県民の皆様の下に届けていただきたい。
 そのためにも、物価高騰や地域社会の回復など、現下の課題にも、生目の行くきめ細かな対応をお願いする。
 「やまぐち未来維新プラン」に基づく新たな県づくりに向け、令和5年度当初予算に込めた知事の思いと、来年度の取組を進めるに当たっての決意を伺う。
 

村岡知事

 
 友広議員の代表質問にお答えします。
 まず、令和5年度当初予算についてのお尋ねです。
 人口減少の進行をはじめ、3年に及ぶコロナ禍や、それによる社会経済活動の低迷、デジタル化や脱炭素化等の社会変革、ウクライナ情勢を発端とした物価高騰など、県政を取り巻く環境は大きく、急速に変化をしています。
 私は、こうした環境変化をしっかりと捉え、単にコロナ前に戻すだけではなく、様々な社会変革の先にある新しい未来に向けて、本県の経済や暮らしをより高いレベルに引き上げていく「発展的再生」を実現させるという強い思いをもって、この度の予算を編成しました。
 予算編成に当たっては、やまぐち未来維新プランに基づく新たな県づくりを本格的に始動する予算と位置づけ、プランに掲げる「安心・安全」「デジタル」「グリーン」「ヒューマン」の4つの視点を踏まえ、これまでの取組を未来志向で再構築するとともに、コロナ禍等で生まれた新たな課題や深刻度が増した課題への対応に重点的な予算配分を行いました。
 まず、「安心・安全の確保」では、コロナ禍の経験を踏まえ、将来にわたって県民の命と健康を守る取組の充実・強化として、県立総合医療センターの抜本的な機能強化に向けた取組などを進めていきます。
 「デジタル実装の加速化」では、県民一人ひとりが豊かさと幸せを実感できる人にやさしいデジタル社会の構築に向け、県政の各分野・各地域でのデジタル実装を進め、やまぐちデジタル改革をより高いレベルに押し上げます。
 「脱炭素社会の実現」では、カーボンニュートラルを原動力に本県産業が成長と発展を遂げていくため、産業関連の設備投資・研究開発を支援するほか、県民や事業者の自発的な行動変容を促す、県民総参加による地球温暖化対策を推進します。
 また、「人づくり、新たな人の流れの創出」では、結婚から妊娠・出産、子育てまでの切れ目のない支援や本県の未来を担う人づくりの取組を一層充実させます。
 さらに、コロナ禍で失われた人と人とのつながりや活力を再生し、コロナ前よりも元気な地域を創るため、山口きらら博記念公園を県の中核的な交流拠点として、本県の活力を創出・発信してまいります。
 これらのプランに掲げる重点施策の推進に当たっては、令和4年度2月補正において新たな基金を創設し、計画期間にその取組を着実に実行することにより、確かな成果につなげていきたいと考えています。
 さらに、現下の物価高を踏まえ、光熱費高騰に対する支援や消費需要喚起策などの物価高騰緊急対策に加え、県産飼料の生産拡大支援や、賃金引上げ・価格転嫁を促進する中小企業制度融資の融資枠を確保するなど、中長期的な課題にも対応した支援を行います。
 私は、「安心で希望と活力に満ちた山口県」の実現に向け、本予算を通じ、コロナ禍や現下の物価高で傷んだ社会経済を再生させるとともに、3つの維新のさらなる進化を図る取組を速やかにスタートさせ、県民の皆様がその成果を早期に実感できるよう、全力で取り組んでまいります。
 

 質 問 

  知事は、デジタル改革基本方針に基づき、地域のDX創出やデジタル人材の育成など、様々な実践に果敢に取り組まれているが、一方で、実証段階に留まっているものも多くあり、改革の実現に向けて、今がまさに正念場である。
 我が会派が度々訴えているように、「地方においてこそデジタルを優先的に活用していくべき」であり、デジタル改革にいち早く着手している本県においては、国の「デジタル田園都市国家構想」と歩調を合わせながら、時に国に先んじるよう、デジタル実装のスピード感を上げ、改革の果実を県民にしっかりと届けなくてはならない。
 医療・教育・防災・子育てなど、暮らしに身近な分野における取組成果をさらに発展させる必要があり、産業面でも製造現場のDXにより生産性向上を図ることが重要で、担い手不足・高齢化が深刻な農林分野では、「農林業の知と技の拠点」が核となり、スマート農業技術の現場への実装の加速が強く求められている。
 デジタル改革により得られる一つ一つの果実が、多くの県民の日々の暮らしや仕事、事業活動に浸透し、地方における豊かさの向上に結びつくものとなるよう、県には、デジタル実装を改革の目標に掲げ、これまでの取組を大きく発展させるよう、しっかりと進めていただきたい。
 知事はデジタル改革の深化・加速化に向けて、どのように取り組んでいくのか所見を伺う。
 

村岡知事

 次に、デジタル改革の深化・加速化についてのお尋ねにお答えします。
デジタルは、本県が抱える様々な課題を解決するための切り札となり、また、新たな価値を創造し、地域の持続的な成長へのチャンスを生み出す、大きな可能性を有していることから、私は、その力を積極的に活用する「やまぐちデジタル改革」の取組を強力に推進しています。
 これまでの全国に先駆けた様々な挑戦を経て、社会の中での実装事例も生まれており、私は、こうした成果をさらに増やし、多くの県民の皆様に届けるため、本県のデジタル改革を、実装の本格展開を図る次のステージへと、しっかりと押し上げていかなければならないと考えています。
 折しも、国は「デジタル田園都市国家構想総合戦略」において、地方のデジタル実装による課題解決への取組を支援するとし、また、県議会の「人にやさしいデジタル社会実現特別委員会」からも、改革の成果を県民が実感できるよう、デジタル実装に力を注ぐべきとの提言をいただきました。
 まさに今、デジタル実装に向けて大きく踏み出していかなければならない。私は、そうした考えの下、「やまぐちデジタル改革基本方針」を改訂し、県民の皆様がデジタルで社会や暮らしが変わったと真に実感できるよう、実装を改革の主眼へと据え、力強く取組を進めていきます。
 そして、実装への各分野の取組をデジタル推進局が中心となり、戦略的に推進するため、新たに「デジタル実装推進基金」を創設し、これを最大限有効活用すること等により、実装に向けた施策を重点的かつ集中的に展開していきます。
 具体的には、県民に密接な分野において、デジタル実装によって暮らしの質を向上できるよう、子育て世帯を支援する病児保育の予約システム導入や、教育データに基づく個別最適な学びを実現するためのクラウドサービスの活用などの取組を進めます。
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 質 問

 知事はこのたび示された「やまぐち産業脱炭素化戦略」の最終案に沿って、10億円を上回るコンビナート企業群などへの支援策をはじめ、県組織の体制強化も打ち出され、今後の実効性とその成果に大きな期待が寄せられている。
 一方で、我が国の脱炭素化に向けた動きは加速している。20兆円という大規模な政府資金の投入策が講じられ、革新的な技術開発やクリーンエネルギー自動車の導入支援など、施策を総動員して脱炭素化を推進しようとしている。
 県内企業の動きも急であり、企業の研究開発や設備増強に対して、国の支援を着実に結び付けられるよう、県には、地域特性に応じたソフト面の支援を強化するなど、各企業・各地域の声に寄り添い、後押しすることが強く求められる。
 また産業基盤の面からも、国際バルク戦略港湾の整備と並行して、カーボンニュートラルポート形成に向けて、国・県が一体となって着実に取組を進めていかねばならない。
 もとより、事業変革に迫られる中小企業や、CO2の吸収源として重要な農林水産業への支援も欠かせない。
 県の体制整備は時宜にかなったものと評価するが、産業脱炭素化という大きな変革を本県に取り込むには、目に見える成果が不可欠であり、前例にとらわれることなく新たな発想で取組を進め、これまで育んだ優れた産業競争力を強化し、県経済を成長軌道へと押し上げていただきたい。
 本県産業が直面する脱炭素化への対応と、産業競争力の維持・強化の両立を図るため、新たな戦略の具現化に向けて今後どのように取り組まれるのか、所見を伺う。
 

村岡知事

 次に、産業脱炭素化戦略の推進についてのお尋ねにお答えします。
 脱炭素化の潮流が速度を増す中、本県産業がカーボンニュートラルを原動力とし、更なる成長と発展を遂げるためには、取組の方向性や課題を産業界等と共有し、事業者の取組をしっかりと後押ししていくことが重要です。
 このため、私は、昨年10月に策定したコンビナート低炭素化構想を核として、産業分野全般にわたる「やまぐち産業脱炭素化戦略」の策定を進めてきたところであり、今後、戦略の具現化に向け、予算及び推進体制の両面から思い切った措置を講じ、実効性ある取組を強力に進めることとしました。
 まず、予算面では、安定的な財源を確保し、企業投資等の予見性を高めることができるよう、60億円の「脱炭素社会実現基金」を創設し、これを活用した新規施策を中心に、集中的な取組を展開します。
 本県経済の屋台骨であるコンビナートについては、各地域での連携体制の構築と活性化を図りながら、CO2排出削減や次世代燃料・素材の供給基地化に向けた、施設整備や研究開発に対し、県独自に複数年にわたる大規模な経済的支援を行い、国の支援策の取り込みにつなげてまいります。
 併せて、重要なインフラである徳山下松港においては、国際バルク戦略港湾施策を推進しつつ、将来の西日本エリアにおける次世代エネルギーの供給拠点化に向け、新たに設置する協議会において取組の具体化を進め、令和5年度を目途に港湾脱炭素化推進計画を策定することとしています。
 また、自動車産業の電動化シフトに対応した県内企業の業態転換や新事業展開を支援するとともに、中小企業の水素関連産業への参入促進や脱炭素経営の普及啓発、制度融資による資金繰りの支援等に取り組みます。
 さらに、自動車の電動化やエネルギー利用の効率化等に不可欠である蓄電池や半導体関連産業等は、今後の成長が見込まれることから、新たに最大50億円の補助金を創設し、戦略的な企業誘致を進めることとしています。
 加えて、「農林業の知と技の拠点」を核とし、脱炭素化等に対応する「山口型スマート技術」の開発・実装を加速するとともに、エリートツリーによる再造林の推進やJクレジットの活用促進など、CO2吸収源対策に資する取組を進めます。
 体制面においても、脱炭素化をはじめ急速な社会変革に的確に対応するため、産業戦略部と商工労働部を一体化し、新たに「産業労働部」を設けるとともに、機能や人員をさらに拡充した「産業脱炭素化推進室」を設置し、総合的なマネジメントや企業ニーズの把握を行いながら、目に見える成果の創出を図ってまいります。
 私は、今後とも、産学公金の緊密な連携の下、脱炭素化という変革を乗り越え、産業の未来をリードする山口県の創造に向け、新たな戦略の具現化に全力で取り組んでまいります。
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 質 問

 我が会派では、幹線道路網の整備促進を強く訴えるとともに、要望活動を行ってきた結果、山陰道の三隅・長門間において、事業化に向けた手続きが進められ、俵山・豊田道路等の工事が着実に施工されている。
ま た、下関北九州道路は、事業化に向けた歩みが進められ、岩国大竹道路や国道2号富海拡幅等も、工事や調査が実施されるなど、県内全域にわたり、多くの事業が展開されている。
 一方、県内の山陰道の整備率は未だ2割に満たず、下関北九州道路も、事業手法の検討や環境影響評価等の手続きを行う必要があり、道路の整備は道半ばである。
 また、交通渋滞や事故発生、視界を遮る草木の繁茂等の課題の解消も急がれる。
 このような課題を解消し、未事業化区間の早期事業化に向けた動きを加速化させるとともに、事業化区間の早期完成に向け、一層の事業促進を図るなど、幹線道路網の整備に強力に取り組んでいただきたい。
 そこで、本県の産業力強化や交流拡大を図り、災害時にも機能する信頼性の高い道路ネットワークを構築するため、山陰道をはじめとする幹線道路網の整備に、今後どのように取り組まれるのか、所見を伺う。
 

村岡知事

 次に、幹線道路網の整備についてのお尋ねにお答えします。
 私は、「安心で希望と活力に満ちた山口県」を実現するためには、迅速かつ円滑な物流の確保や交流人口の拡大に資するとともに、大規模災害時にも機能する道路が必要不可欠と考えており、「やまぐち未来開拓ロードプラン」に基づき、幹線道路網等の整備を重点的・計画的に進めているところです。
 具体的には、まず、山陰道のうち「三隅~長門」間については、市街地や観光拠点等に直結する重要な区間であり、地域の利便性・安全性の向上のため、早期に整備を進める必要があります。
 このため、県としては、政府要望や知事会等の機会を捉え、早期事業化を要望するとともに、昨年8月に示された国の計画案を基に、周辺道路等の整備の検討や、都市計画の決定に向けた手続きを鋭意進めてきたところです。
 さらに、私は、こうした取組を令和5年度の新規事業化に確実に繋げるため、今月、柳居議長をはじめとした議員連盟や、期成同盟会の皆様とともに、斉藤国土交通大臣に直接お会いし、改めて早期整備の必要性を強く訴えてまいりました。
 また、その他の区間についても、引き続き、あらゆる機会を通じて、事業中区間の一日も早い完成はもとより、未着手区間の早期事業化を国に要望するなど、山陰道全線の早期完成に向けた取組を加速してまいります。
 次に、下関北九州道路については、関門地域の一体的な発展を担う重要な基盤であることから、国や2県2市と連携し、都市計画や環境アセスメントを進めるための調査を行っており、今年度、環境影響評価に係る審査会を開催するなど、取組を着実に進めているところです。
 また、整備促進大会や、産学官の連携によるシンポジウムを開催するなど、機運醸成や、広範にわたるコンセンサスの形成にも努めています。
今後とも、事業化に向けた調査・検討を迅速かつ着実に進めるとともに、議員の皆様や経済界とも連携しながら、早期実現に向け、精力的に取り組んでまいります。
 さらに、事業中の国道2号や国道188号、小郡萩道路などの早期完成はもとより、地元の期待が大きい国道2号の台道から鋳銭司間などの事業化についても、国に強く要望してまいります。
 また、県民の皆様が、安心・安全で、快適に道路を利用していただけるよう、引き続き、地域の課題やニーズに応じ、渋滞対策や適切な維持管理等にも努めていく考えです。
 私は、本県の活力の源となる産業力の強化や交流の拡大、県民の安心・安全の確保に向け、その基盤となる幹線道路網の整備に積極果敢に取り組んでまいります。

 質 問

 この3年間、学校現場では、長期休業を経験する中、オンラインと参集型の授業を併用するなど、コロナ禍でも子供たちの学びを止めることなく教育を進めてこられた。
 一方、活動機会の減少に伴う体力の低下や、不登校の増加など、コロナ禍は教育の分野に爪痕を残しているのも事実である。また、地域連携の取組や運動会などの体験的な活動が、多くの制約を受け停滞したことも否めない。
 今後、伝統ある本県の教育力を取り戻していくためには、コロナ禍の影響を大きく受けてきたところにしっかり目配りしていかなければならない。
 同時に、コロナ禍で普及したデジタルツールやデータを活用して、個々の生徒に応じたきめ細かに対応した学習を実現することも求められる。本県では、全ての公立学校に1人1台端末等が整備されたが、活用には地域や学校によりばらつきがあり、あまねく学習効果が得られていない。
 県教委には、コロナ禍で制約を受けてきた子供たちの学びを取り戻すとともに、それに留まらず、より豊かで魅力ある学びへと本県教育を発展させていただきたい。
 そこでお尋ねする。社会経済がコロナ禍から平常に戻る中、本県教育力の回復と、ポストコロナ社会における新たな学びの実現に向けて、県教委としてどのように取り組まれるのか、教育長のご所見を伺う。
 

教育長

 教育行政についてのお尋ねにお答えします。
 コロナ禍の約3年間、県教委では、学校における感染防止対策の徹底を図るとともに、全国に先駆けてICT環境を整備し、オンライン授業が実施できる体制を整えるなど、子どもたちの学びを保障し、安心・安全に学校生活を送ることができるよう取り組んでまいりました。
 しかしながら、この間、学校内外での交流機会の減少や人間関係の変化、生活リズムの乱れ等により、地域と連携した活動の停滞や体験活動機会の減少、いじめ・不登校の増加など、コロナ禍の影響による様々な課題が顕在化・深刻化しています。
 このような中、本県の教育力を回復し、子どもたちの豊かな学びを実現していくためには、まずは、こうした課題の解決に全力で取り組むことが重要であると考えています。
 このため、コロナ禍で停滞した地域連携教育の再加速に向け、新たな推進体制の整備や子どもと大人が学び合う場の創出などに取り組むことにより、希薄化した人と人とのつながりを取り戻し、社会総がかりで子どもたちの学びや育ちを支援してまいります。
 また、地域や企業、大学等と連携した自然体験活動のモデル事業を新たに実施することとしており、これを全県に展開することで、子どもたちの体験活動の機会の充実に取り組んでまいります。
 さらに、いじめ・不登校等の未然防止を図るため、全国初の取組として、中学・高校入学前の段階からスクールカウンセラーによる教育相談を実施する体制を構築し、新たな学校生活等に不安や悩みを抱える新入生への重点的な支援を行うこととしています。
 こうした取組により、コロナ禍で直面した諸課題の解決を図ると同時に、ポストコロナ社会における新たな学びの実現に向けては、全ての県立学校に整備したICT環境をさらに効果的に活用していくことが必要です。
 このため、タブレット端末の利用により蓄積された学習履歴などの教育データを学習指導等に活用することで、児童生徒一人ひとりに合った学びを支援してまいります。
 また、海外の学校との遠隔授業や、選抜性の高い大学を志す高校生を対象とした課外授業、専門高校等における資格取得のための講座などをオンラインで実施することにより、学校の枠を越えて切磋琢磨し、学ぶことのできる機会の創出に積極的に取り組むこととしています。
 県教委といたしましては、市町教委や関係機関等との緊密な連携のもと、コロナ禍で制約を受けてきた子どもたちの学びをしっかりと取り戻すとともに、本県の強みであるICT環境を生かした質の高い教育の実現に向けて全力で取り組んでまいります。

 質 問

 犯罪や事件が高度化・複雑化する中、安全・安心の基盤である警察機能の充実強化にどのように取組んでいくのか。警察本部長の所見を伺う。

本部長

 警察機能の充実強化についてお答えいたします。
議員お示しのとおり、昨年、全国では刑法犯認知件数が20年ぶりに増加に転じたほか、うそ電話詐欺の認知件数や被害額も前年より増加するなど、懸念される状況となりました。
 一方県内では、刑法犯認知件数やうそ電話詐欺の認知件数、被害額については減少しているものの、サイバー犯罪に関する相談件数が4千件を超え、過去最高となるなど、安全・安心なサイバー空間の確保は喫緊の課題となっています。
 また、全国で、殺人にまで至った一般民家などを対象とした連続強盗事件が発生しており、当県でも同一犯行グループによるものとみられる事件が昨年11月に発生しております。当県の事件については速やかに実行犯全員を検挙しており、現在警視庁等と合同で指示役の特定など全容解明を進めているところでありますが、これら凶悪事件の発生が、体感治安を脅かす大きな要因となっていると認識しております。
 県内におけるこれらの事件では、当県とは全く縁のない実行犯らが、指示役から秘匿性の高い通信アプリなどで指示を受け、県内に入り犯行をした後、直ちに県外に逃走するなどの特徴があり、こうした犯罪の広域化・スピード化に対応するためには、最新の捜査ツールの導入等による、捜査の一層の高度化、スピード化が求められる状況となっています。
 更に、限られた人員を、これらを含めた捜査活動、警察活動に的確に対応させていくためには、あらゆる業務を積極的にデジタル化し、合理化・効率化を図ることによって、真に人にしかできない仕事に貴重な人的資源を集中投入していくことが、より重要となってきます。
 加えて、議員お示しのとおり、警察活動の基盤であり、災害等の発生時には災害警備活動の拠点となるべき警察署等の施設についても老朽化が進み、機能性や、県民サービスの面からも不備が生じているものが多々あり、これらへの対策も喫緊の課題となっております。
 こうした観点から、県警察においては、先日発表された、「やまぐち未来維新プラン」において、「サイバー犯罪対策の強化」や「社会の変化に対応した捜査力の強化」、更には「警察部内のデジタル化」、そして「老朽化した警察署や交番等の集中的な建替え整備の推進」等、様々な施策を策定させていただきました。
 県警察では、これらの施策を実現するため、来年度は、サイバー犯罪対策に特化した「サイバー犯罪対策課」や、捜査の高度化に対応する「捜査支援分析課」、更には警察部内のデジタル化を一層推進していく「情報技術推進課」を新たに立ち上げ、それぞれ専門的な人材の確保・育成はもとより、必要なデジタルツールや捜査の高度化に資する資器材等を計画的に整備してまいることとしております。
 また、防府警察署や周南警察署をはじめとする老朽化、狭隘化した警察署についても、災害警備活動の拠点として、あるいはデジタル化や感染症等への対応、利用者の利便性向上の観点からも十分となる施設とすべく、集中的かつ計画的な建替え整備を進めてまいりたいと考えております。